1次選考 あと一歩の作品選評

『どうしようもないこと』/河内アキ

あらすじ&コメント

大学2年生の萩島美緒は幼馴染の斉藤陽一を探して、ある教室へたどりつく。そこで机に突っ伏して眠っている陽一の髪にそっと触れている高田涼の姿を目撃する。美緒はその姿を見て高田の陽一への想いと同時に、自分の高田への想いに気がついてしまう……。男は恋愛対象外だという陽一、あきらめられない高田、高田の想いを知る美緒。陽一をきっかけに美緒と高田は仲良くなるが、どうにもならない想いに苛まれる。高田が同じ部に所属し友達としての関係が深まるなか、美緒は‘彼’のさらなる秘密を知ることになる……。

どちらかというと、ありきたりな話で興味の薄い題材でしたが、作者は繊細な心理描写に長けており、登場人物たちの切ない気持がとてもよく伝わってきました。読み応えでいうと、少し物足りなさを感じるので、登場人物の背景、裏ストーリーなどをしっかり構築したうえで、気持ちの流れだけに頼らず、いろいろな要素が盛り込まれてくるとより面白くなるのでは?と思いました。


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