2次選考 あと一歩の作品選評

『空と睡蓮』/樋口和美

父の浮気が原因で母親が自殺した向井真木と、母親が仕事と恋にかまけている上原優香子は、孤独と親への愛情の狭間で揺れ動きながら奇妙な連帯感でつながっていた……。真木と優香子の友情に加え、真木が思いを寄せる三崎や、園田、孝文、ゲイバーのママなどの登場人物がからむ、青春群像劇。
 どの登場人物も個性的に描かれていて、人物造形がしっかりしている点に高い評価が集まりました。反面、ゲイ、三角関係、親子関係等、深刻なテーマが重なっていて、いろいろなものを詰め込みすぎている点についてはもっと整理する必要があるということから、今回は通過には至りませんでした。ただ、感受性と表現力は恋愛作家向きであると、その筆力には期待する意見が多く出ました。

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