1次選考 あと一歩の作品選評

『喪女の奇妙な日常』/椎名未明

あらすじ&コメント

古希を超えるオカマの店長が経営する弁当屋「うまうま亭」を舞台に、長崎の被爆体験者の老女オトメさん、いじめを受けた中卒女子のアキ、そして体重100キロの喪女アヤノらスタッフたちが万引きやクレーマーに悩まされながらも奮闘する日々が描かれる。

 弁当屋のスタッフ4人のキャラが立っている。とくに、不美人でも明るく生きている喪女アヤノは、冒頭から大いに笑わせてくれる。だがその後、章を改めてアキ、オトメさんと視点が変わっていくにつれ、いじめ、戦争体験、DV、精神障害など、不幸で深刻なトラウマエピソードがこれでもかとつぎ込まれ、「この小説は笑っていいのだろうか」と戸惑わされた。「お涙頂戴小説」とはいえ、不謹慎すれすれだと思う。筆力がある方なので、その才能を間違った方向に使わず、良質な「コメディ」を創作してほしい。


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