1次選考 あと一歩の作品選評
『無機質彼女』/jiXaw
あらすじ&コメント
無表情に何に対しても反応の薄い「無機質」な彼女・真冬と交際をしている大学生の宗司。一風変わった二人の交際を、周囲の友人である遥花、壱(はじめ)、繭子らは、それぞれの思いをもってみつめている。そうした思惑とはよそに、真冬との時間をいつくしんでいる宗司だが、真冬が財閥令嬢である繭子の家にシェフとして雇われたことをきっかけに、その関係が変わりはじめる。恋愛のかけひきに巻き込まれ、真冬の「無機質」の秘密も知ってしまった宗司。彼の出した結論は?
「無機質」という発想が面白く、大きな期待をもって読んだ作品。ふたりの性生活の描写にもドキリとさせられました。ただ、全体の構成などには、稚拙さあり。複雑な人間模様を消化しきれておらず、物語がすっと入ってきません。とくに後半、著者自身が多少混乱しているさまが読み取れ、真冬という人物の面白さが、そっちのけになってしまったのが、とても残念。物語を刈り込んで、真冬と宗司の関係に焦点を絞ったほうが、いい作品になったと思います。