1次選考 あと一歩の作品選評
『春、夏、姉、妹』/池の端 采
あらすじ&コメント
両親を事故でなくした夏希と春香の双子のような外見を持つ姉妹は、両親がかけていた保険金を相続。学校にも行かず、働きもせずに趣味のパッチワークやイラストに明け暮れ、自宅のマンションと伊豆の別荘を行き来してのんびりと暮らしていた。そんなとき、妹の春香が恋人にお金をだまし取られそうになり、姉の夏希が悪人たちを返り討ちにする。しかしほっとしたのもつかの間、今度は春香が伊豆の喫茶店のマスターと結婚することになり、夏希も名古屋に小物の店を出し、二人はそれぞれ自分の道を歩き出した……。
小説として面白く、最後までかなり悩みましたが、テーマであるラブストーリー部分がなくても話が成立してしまうので今回はあと一歩の作品とさせていただきました。のんびりとした空気感をまといつつ、妹についた悪い虫を撃退しようとする意外と武闘派な夏希の奮闘ぶりにはとてもワクワクしました。とても力のある方だと思いますので次回のご応募をお待ちしております。