1次選考 あと一歩の作品選評
『二番目に好きな人』/森 明日香
あらすじ&コメント
大学時代にダブルデートを楽しんでいた友だち同士の真由と健吾。それぞれ付き合っていた当時の恋人が結婚した日、偶然にも再会したふたりは、なんとなく付き合い始め、結婚することになる。平凡な毎日を過ごすうちに、真由は夫が「まだ元カノのことを好きなのではないか」と疑い始め、悶々とする。そんなとき、ミクシィでY・Rと名乗る男性と交流するようになり、彼女の日々は輝きを取り戻すのだが……。
フェイスブックやラインが全盛のいま、なぜミクシィ? と思わなくもないけれど、ソーシャルメディアの出現が、夫婦関係に大きな影響を与えているという話はよく聞くし、着眼点はよいと思う。けれど、妻が知らない男に惹かれていくのを知りながら、彼女の前で何の変化も見せない健吾のキャラクターに感情移入できなかったのが残念。また、「ネット上の交流」という設定を活かしてきわどい言葉遊びをさせたり、ほかの人とも交流させてみたりすれば、時代性も出せたし、もっとドキドキしたのではないかと思う。