第8回日本ラブストーリー大賞1次通過作品

『運命共同体(笑)』/猫町 鈴

あらすじ

漫才コンビ「大阪キャッツ」の二人組、不細工キャラで太めの沙也加と美少年キャラでイケメンの秋実は、念願のお笑い新人グランプリを受賞した。ダサいおっさんキャラの沙也加がコントのネタを書き、スター性のある秋実の魅力で人気は急上昇。しかし、「漫才グランプリの受賞は秋実がプロデューサーと寝たからだ」という噂が流れ、プロデューサーのほかにも担当マネージャーや年の離れた大女優とのスキャンダルまで取り沙汰される。マスコミに追われ、秋実の秘密が明らかになったとき、今度は沙也加が隠していた祖父との関係、プロダクションの事情を周囲に知らせなければならなくなり、彼女はある決心をする。


評価・感想

対照的な男女の漫才コンビ「大阪キャッツ」の沙也加と秋実のラブストーリーが始まるのかと思いきや、敏腕マネージャーと中性的な秋実の熱烈なラブシーンあり、そのマネージャーに憧れる沙也加の切ない片思いがあり。一筋縄ではいかない恋模様がテンポ良く描かれていました。恋愛に翻弄されるだけでなく、舞台裏でのライバル達とのやりとりなど見せ場がしっかりと盛り込まれ、身近に感じられるけれど独特な世界、お笑い芸人として生きていく覚悟やプロ根性が上手く表現されていました。体格が良く、図太そうに見えて、じつは小心でお笑いに関しても恋愛にも一途な沙也加の魅力は充分に伝わるのですが、一方で秋実の容姿とキャラならお笑いではなく役者のほうが向いているのでは? という疑問が残りました。秋実はなぜお笑いを目指したのか。その理由や彼が放つ不思議な色気についての記述がもう少し欲しかったです。

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