2次選考 あと一歩の作品選評

『ママの男』/鳰夏湖

女子大生の須永真由は、悩んだ末に母の絢子とひと回り年下の恋人、木崎涼輔の結婚を認める。しかし、その直後に絢子は交通事故で死亡してしまう。残された真由と涼輔は、いつしか互いに惹かれ合っていくが……。
「亡くなった絢子と真由への想いのあいだで揺れる涼輔の様子、そして亡くなった母と涼輔への想いに揺れる真由の様子がリアルに伝わってきて、読ませる」「誕生日や大晦日のすれ違いも、ドラマチックに描けている」という好意的な意見の反面、「最初は真由、そして涼輔という具合に視点が変わり、どっちに感情移入していいかわからない」という意見や、「物語を叙述する表現が薄く、ドラマ展開の肝心なところで会話文に頼っている印象がある」という厳しい指摘もあり、今回は通過には至りませんでした。また、涼輔のキャラクターが魅力的でない、という意見も出ていました。

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