2次選考 あと一歩の作品選評

『ぞうさんの虹』/宮本奈々

主人公・ふみは5歳のとき、父親の出張先のタイで、現地の少年・チュアンに出会う。その後、10歳、15歳と、5年ごとにタイと日本で、かけがえのない時間を過ごす二人。そしてふみが20歳になったとき、建築家を目指して日本に留学していたチュアンと4度目の再会を果たす。はたして、大人になった二人が出した結論とは……?
 タイの風景や現地での出来事などが興味深く描けている点や、物語に日記文を差し挟むセンスに、好意的な意見が集まりました。反面、初々しさはあるものの、恋愛に至る気持ちの表現の仕方には幼さが感じられ、主人公たちの気持ちの移行にリアリティが感じられないとの厳しい指摘もあり、今回は通過には至りませんでした。

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