受賞作品詳細

第7回 日本ラブストーリー大賞 大賞受賞作

ワリナキナカ』/著者:沢木 まひろ

※書籍化にあたり『最後の恋をあなたと』と改題いたしました。
原宿のヘアサロンで働く美容師・暁(あき)は、妹・泉に押しつけられた猫とふたり暮らし。暁と泉姉妹は、母親が家を飛び出し、父が自殺した後、施設に預けられた。幼い泉は養女として引き取られたが、暁は施設で育てられ、自分ひとりで生きていくと決めた。
複数の男友達とセックスを楽しんでも恋愛はしない暁の前に、ビル清掃会社に勤める祐輔が現れる。暁にしてみれば肉体だけの関係のつもりだったが、実直な祐輔は暁への恋慕を打ち明け真剣な交際を迫る。初めは煙たがっていた暁もやがて祐輔に対して心を開きはじめるが、その矢先、暁は祐輔とセックスができなくなる。抱き合っても暁の体が反応しないのだ。それでも祐輔の暁への思いは変わらない。ふたりはどんな結論を出そうとするのか――。



著者:沢木 まひろ(さわき まひろ)プロフィール
1965年東京生まれ。青山学院大学日本文学科卒業。2006年『But Beautiful』で第1回ダ・ヴィンチ文学賞優秀賞を受賞、2007年より公に執筆活動を始める。作家として『ヘヴンリー・ヘヴン』、『ブランケット タイム』、受賞作収録の『きみの背中で、僕は溺れる』など5作の著作があるなか、今回、自分の作品をあえて厳しい評価にさらしてみたく、当賞に応募、大賞受賞に至る。現在は東京都と神奈川県の境目に在住
受賞者コメント
作品を評価して下さった皆様に心より御礼を申し上げます。
一等賞の実感は、これを書いている時点ではまだ湧いていませんが、
いとおしい登場人物たちが広い世界へ解き放たれることが、
何よりもうれしく、楽しみでしかたありません。

私の作品を形づくるピースは、大きなものも微細なものもすべて、
家族、友人、お世話になったかたがたとの時間なしには
生まれ得なかった宝物です。
世の中が大きく変わり、「いい歳」どころの歳でなくなったいま、
そのことをほんとうに強く感じます。感じながら書いた物語です。
ひとりでも多くのかたに読んでいただければ幸いです。