第一次選考あと一歩作品詳細
『アルモニ 隠された森と黄金のロングボウ』 石垣 朗
あらすじ&コメント
熱帯雨林の環境保護活動や、人類が生存をかけて設立した「人工の地球研究所TAER」など、緻密に構築された世界観に圧倒されました。自然の一部であるはずの人間が自然を保護しようとする矛盾といったことも考えさせられ、そのテーマの深さにうなりました。
ただひとつ、大きな欠点があって、推すことはできませんでした。それは、登場人物たちの行動や心情に臨場感がない点です。すべてが説明調で、「小説」ではなく、「あらすじ」の域を脱していないように思われます。もちろん、それも作風とも解釈することはできますが、一部のマニアを除いて、この文体では多くの読者を獲得できないでしょう。移り気な読者の関心を最後の一行まで惹きつけるには、感情移入せざるを得ないような登場人物のキャラクターを造形し(説明ではなく描写で)、あたかもその場面に居合わせているかのような魅力あるシーン作りを心がけねばなりません。
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