第一次選考通過作品詳細
『パーティがはじまる』 草野 來
あらすじ
アメリカ人のグレゴリー、日本人の夏美を父母に持つ25歳の華子は、父の一回忌のパーティを開くかどうかを母に相談される。夫の死から立ち直れない母を前にして華子は、「私はどっちでもいいってば」としか答えられない。「ようし、やめよう」とさっぱりした顔で宣言した母はその翌日、マンションのリビングで首を吊る──。
評価・感想
痛い小説。とても痛い。悪意ではなく、ありふれた善意とエゴに閉じこめられたコミュニティの閉塞感。そこには目をそむけたくなるような現実がある。その現実に打ちのめされながら、懸命にふるまうヒロイン華子の姿が、痛い。もうそのへんでいいから、見ようとしないでくれ、こちらにそれを見せないでくれ、と読んでいて思ってしまうところまで見せてしまう。
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