第一次選考あと一歩作品詳細

『ナイン・ストーリーズ~9つの恋の物語~』 鈴木 剛介


あらすじ&コメント

 42歳の独身作家である「私」は、結婚願望がまったくないまま生きてきたが、なんの目的もない生活に疑問を抱くようになっていた。そんなとき、雑誌編集者、谷垣優子からの依頼で、キャバクラの女の子たちを取材し、恋愛をテーマにした連作短編を執筆する。不倫相手がさらに別の女性にも手を出しているという「トライアングル不倫」に悩む優子の深酒に付き合ううちに、徐々に彼女との距離が縮まり、ゆるい感じで入籍。妻となった優子とでかけたドライブ先で、「私」のトラウマになった20年前の恋を語る。そして、ふたりに訪れるのは……。「私」と優子のゆるい恋と結婚が目新しくていい。だが、キャバクラや知的障害者の女の子の恋愛話が小説中小説として織り込まれているので9つの恋の物語が登場するが、どれも直接的で中身が薄く、なんの関連性もないのが残念。もう一工夫欲しい。

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