第一次選考あと一歩作品詳細

『偽装結婚』小松崎 松平


あらすじ&コメント

 孤独な業界紙記者の岩井が、フィリピンパブのホステスのマリーに入れあげ、のめり込んでいく様子が真に迫る力作でした。ただ、物語の時代設定が20年近く前になっており、2010年代のいま、この作品を読むべき意義があるのだろうかと思ってしまったのも事実です。たとえば作中、アキノ氏暗殺事件が起こった1983年を「フィリピン人たちは決して忘れない」との記述がありますが、これは事件が起こって7~8年後のフィリピン人の気持ちであって、2011年の現代のフィリピン人の気持ちを代弁するものではないでしょう。いまの読者は、20年前のことよりいまのことを知りたがるものではないでしょうか。

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