第一次選考あと一歩作品詳細

『愛していると嘘でもいいから言って』 秋月 由宇


あらすじ&コメント

 フリーターの安芸悠は駅のホームでナイフを握る女子高生の心を察し、自ら刺された――。病室で退院を待つ悠のもとに、高校の同級生でいまは大学院生の渡良瀬夏奈子が突然訪れる。ふたりは同級生だった山本縁の自殺未遂をきっかけに付き合っていたが、卒業を機に別れていた。悠が女子高生に刺されたことを知った夏奈子は、いまも悠が自殺未遂のことを悔やんでいると知り、悠の心を救うためにあることを企てる、というあらすじ。

 設定に対する調査が甘く、著者の妄想の範疇から脱しきれていません。また、登場人物の感情に特徴がなく、平坦に書かれているので、ひとりひとりのキャラクター、場の状況などが掴みづらい。ライトノベルはイラストが入るのでビジュアル面の補完ができますが、小説は文字だけですべてを表現するものです。もっと緻密に、丁寧に、物事や心の動きを表現していきましょう。ネタを盛り込みすぎて消化しきれていませんが、発想力はいいと思います。

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