第一次選考通過作品詳細

『あの夏の終わりから』 北村 学

あらすじ

 札幌に住む高校生・亮介は親友のヒデと夜な夜なディスコに通い、適当な女をナンパしては寝て……を繰り返している。ルールは「特定の女とは付き合わない」「彼氏のいる女は抱かない」。ある日、女子校に通う佳織と美穂をナンパするが、ふたりとも彼氏持ちだったため、手は出さず、友人になる。が、たびたび顔を合わすうち、佳織と亮介はお互い気になる存在になっていき……。青春時代のほろ苦い純愛と、大人になって再会し、出口のない恋に溺れるふたり。同じ人とのふたつの恋が綴られる。


評価・感想

 ディスコ最盛期の浮ついた空気やバブル感がよく描けている。特定の彼女を作らない亮介とヒデのコンビもクールでかっこいい。遊んでいるくせ、気になる女には手を出せないってあたりは、『ビー・バップ・ハイスクール』みたいな雰囲気もあって。ただし、物語の中核となる亮介目線の回想が、突如、佳織目線に切り替わる点では肩すかしをくらった感じ。一貫して亮介目線で描かれていたほうが感情移入できたと思う。こういうテーマは珍しくないし、さして大きな出来事も起こらないため小粒感は否めない。けれど「温度の低い男子の青春グラフィティ」という独自の世界観を築いていたという点を評価し、通過作とした。

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