第ニ次選考あと一歩作品詳細
『じゅんじょうかれん』 藤本 純矢
『じゅんじょうかれん』は、人を恋することを知らない女子高生のユキが、さまざまな遍歴を経て、体だけの関係だった美術教師への恋心を確認するまでの物語。
「人物や心理描写など文章も技術的にハイレベル。地方に暮らす10代の女子高生の気持や感覚が、とてもリアルに伝わってきた」、「好きとか愛しているという気持ちがよく分からない少女が、その意味を真剣に問う姿に共感した」との評価が集まりました。その一方、「自分の生徒と教室で毎日のようにセックスをする美術教師や、自分の娘の妊娠を知ったときに堕胎を反対する母親、気が向くとセックスを要求してくるやさしい幼馴染など、登場人物の感覚がみな、少しずつズレている。こんな人たちに囲まれてたら、人と真剣に向き合って心から好きになることなんてできなくて当たり前じゃないかと主人公に同情してしまった」との指摘もありました。また、ラストの「純情可憐に恋してるんだ、あたしは」というヒロインの独白も強引に感じられるとの意見も出ました。
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