第ニ次選考あと一歩作品詳細
『あんじゃねえ』 佐沢 乃一
『あんじゃねえ』は、印刷会社で働く平凡なサラリーマン中西の日常を描くとともに、取引先のパート社員の礼子とのほのぼのとした恋愛の破局と、その後の思いやりの心を描いたハートウォーミングストーリー。
「コミカルな語り口が軽妙で好感がもてた」、「主人公の日常が丁寧に綴られており、その心情も伝わってきた」と、その文体は高く評価されました。ただ、後半以降の展開に乱れがあることは、多くの選考委員が指摘しました。「ヒロインである礼子の心情が手紙で語られるところや、彼女の真実を母が語るあたりは安易」、「離ればなれになっても中西と礼子が『あんじゃねぇ』という気持ちでつながっているという設定が説明不足で、最後は尻切れトンボで終わってしまった感がある」、「時代設定が古く、現代の若者が読んだとき、ちぐはぐに感じる部分が多い」などの意見もありました。
→ 一覧に戻る