第ニ次選考あと一歩作品詳細
『愛について、今こそ話そう』 花野 しずく
『愛について、今こそ話そう』は、夫の弟の地平と不倫している凛子と、夫の優太の三角関係に、義理の父に虐待されて家出した16歳の少女マナが介入することで、彼らが真剣に愛について考えるという物語。
冒頭、章ごとに視点人物を変える手法に賛否の評価が集まりましたが、「人間関係が丁寧に書き込まれ、それらが重なり合うことで、登場人物たちが気づきを得る過程をきちんと表現できている」、「新しい物語を作り出そうと意欲と勢いが感じられる」との評価もありました。その一方、「後半、優太と地平の母親が出てくるあたりから物語が暴走して、本来のプロットを見失った印象がある」、「幼児虐待という深刻なテーマと、男女の愛というテーマとがうまく溶け合っておらず、マナと地平が結ばれるラストの場面はちぐはぐに感じてしまった」という意見もありました。レベルの高い文章だけに、惜しむ声も多くありましたが、通過には至りませんでした。
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