第一次選考あと一歩作品詳細
『フラココ』 秀香
選評
綾と睦月は幼なじみ。密かに睦月に恋心を寄せていた綾だったが、ある日、睦月から結婚式の招待状が届く。相手の名前は、それまで一度も聞いたことのない女のモノだった。ショックを受けた綾は、実家のお香専門店に置いてある「フラココ」というお香を焚いて眠りに落ちる。そして、不思議な夢の世界が幕を開ける……。
独特の世界観に引き込まれました。夢で展開されるのは、平安時代とおぼしき中世の日本の世界。芸術が愛され、絵の教養を身につけることが貴族たちの必修項目だった時代。2人の皇太子が絵の才能を競って勝負する「絵合わせ」のシーンは読み応え十分でした。
それだけに、あえて現実のシーンは入れず中世日本の物語だけで勝負してみたらもっとすばらしい作品になっていたと思います。
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