第一次選考あと一歩作品詳細
『天上の神様』 真杼 穂
選評
母親のことを愛してやまない逢瀬。いつも母親のことばかり考えている彼女が、柚羅という男性的な女性と出会う。二人は親友以上の愛情で結ばれるが、交通事故がきっかけとなり、逢瀬は自殺した母親の後追い自殺をしてしまう。最愛の逢瀬を失った柚羅は、後輩の惟那の献身的な愛によって、少しずつなぐさめられていくが……。
女性が書いた作品だと思っていたら、作者が男性だと知り驚きました。それだけ、女性の描き方がうまい。優れた洞察力、繊細な感受性を持たれた方なのでしょう。読者を酔わせる独特の世界観も素晴らしいと思います。この感性をなくさず書き続けていけば、きっと素晴らしい作品を生み出す日がくるでしょう。今後の課題としては、構成力を身につけること。キャラクター設定が特殊な上に、語り手が数回変わるなど奇抜な文章作法が多用されていると、読み手が混乱してしまいます。プロの作家の作品を読んだときに、どういう風に構成されているか、一度ご自身で分析してみてはいかがでしょう。
→ 一覧に戻る