第一次選考あと一歩作品詳細
『結婚できない女たち』 大西 圭
選評
「煮えない男」、「無駄な男」、「浮いた男」に恋した結果、結婚できない女性を描いた短編小説集。この中で描かれている3人のヒロインは、どれもみずみずしく描かれており、このまま出版してもいいだろうと思わせる文章力に舌を巻きました。しかし、私がこの作品を推薦できない理由はただひとつで、30枚を費やして書かれた「無駄な男」より、15枚で書かれた「煮えない男」と、7枚で書かれた「浮いた男」のほうが面白かったから。つまり、大西さんはショートショートの小説作家としては大成しているけれけど、長編を書くまでには至っていないと判断せざるをえないのです。長編小説を書くには、緻密なプロットを立てて物語を構築していく能力、あるいは、自分が生み出したキャラクターをトコトンまでいじめたり褒めそやしたりする体力が必要です。「煮えない男」、「浮いた男」の面白さを敷衍させ、「無駄な男」のようにならないように物語を構築するのです。次作では、そのような作品に出会いたいと思います。大西さんの筆力をもってすれば、実はそれはたやすいことのようにも思えます。
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