第ニ次選考あと一歩作品詳細

『ぼくは甘美な夢を見る』 十実

 『ぼくは甘美な夢を見る』は、双子の妹を持ち、女装癖のある高校生のカイが、マユという美しい恋人を持ちながらも30歳過ぎのグラフィックデザイナーの良への同性愛を感じて悩む話。ラスト、カイは自分の気持ちに正直になり、周囲もそれを認めるに至ります。
 「密でシャープな文章は映像喚起力があり、玄人はだし」、「バイセクシャルである主人公の深い迷いを、あえてサラリとしたタッチで書くことで、爽やかな作品に仕立てている」と、作品の完成度は誰もが認めていました。ただ、「主人公がグラフィックデザイナーの男性に惹かれたきっかけ、その理由が弱く、恋心が伝わってこないために次を読ませる求心力に欠けた」という意見も多く、「プロローグにバイトのシーンなど無駄な場面が多い」、「時代設定が中途半端に古く、現代の読者に向けて読ませるのにふさわしくない」などの意見もあって、通過には至りませんでした。

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