第ニ次選考あと一歩作品詳細

『ブラック&ブルー』 中川 つちか

 『ブラック&ブルー』は、美大受験で浪人中の青年が、毎日、公園で出会った少女に依頼されるまま、彼女の姿をスケッチする話。ラストで少女は、親から受けた虐待を青年に知らせようとしていたことが明かされます。
 昨年の応募作『青空と雨の向こう側』と同様、限られた場面、登場人物による会話劇的な作風で、「オリジナリティあふれる言い回しの妙。独特のセンスを持った味のある文章」、「意表を突く発端、ミステリアスな展開、カタルシス、心温まるエンディングと起承転結のくっきりした物語で面白く読めた」という評価がありました。その一方、「児童虐待という重いテーマが軽妙な会話劇のノリとマッチしていない」、「後半からのタネ明かしが説明的で物語のスピードが失速する」、「相手の言葉尻をとらえてのセリフにたより過ぎで、物語が小さくなってしまっている」などの難点も指摘され、通過には至りませんでした。

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