第ニ次選考あと一歩作品詳細

『ピース・オブ・クロス』 村山 小弓

 『ピース・オブ・クロス』は、「父が定年退職した日に、母が就職した。その日、和代姉ちゃんが出戻り、私は男に捨てられた」という書き出しからはじまって、ヒロインの千夏がさまざまな裏事情を知って、自分を捨てた石黒との仲を修復するまでの物語。
 「千夏とその家族をはじめ、登場人物の誰もがイキイキとして個性豊か。人物造形の巧みさに驚いた」、「叙事、叙景、叙情のバランスがとれており、登場人物の性格もしっかり書き分けられている」と、その文章力に高評価が寄せられました。その一方、「この小説のキモとなる石黒が千夏を捨てる理由に説得力がなく、種明かしをされてもモヤモヤ感が残る」と、ストーリーの瑕疵が指摘されたほか、「千夏と石黒の恋にトキメキ感がないのがラブストーリーとして残念」との意見もあり、通過には至りませんでした。

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