第ニ次選考あと一歩作品詳細

『バンドアパートメント』 玉田 繁栄

 『バンドアパートメント』は、ボロアパートに引きこもり状態で暮らすSOHOのプログラマーが、住民とバンドを組むことで社会に向き合っていくまでの物語。
 文章で「笑い」を取るというのは実はとてもむずかしいことですが、「語り部である主人公が登場人物の言動に絶妙なツッコミを入れていて、随所で吹き出した」との評価もあり、作者の意図は成功しているようです。また、「ギター、ベース、ドラム、ボーカルの4人が、木造の薄い壁を挟んでセッションする様子は、想像だに面白い」など、物語の秀逸なアイデアが賞賛されました。その一方、「ラストの盛り上がりにたどり着くまでが長く、途中から冗漫な感じがした」との意見もありました。何よりの弱点は、「恋愛小説とは呼べない」という点で、通過作品として推す選考委員はいませんでした。

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