第ニ次選考あと一歩作品詳細

『チベット高原の花』 馮 碧波

 『チベット高原の花』は、中国の田舎の名家に生まれたヒロインが、日本人旅行者とたった1週間ほど旅行に同行したことで恋に落ちる話。ところがヒロインは、幼なじみで地位も財力もある婚約者を選択し、悲恋に終わります。
 「抜群の表現力と描写力の備わった文章に驚かされた」、「主人公の玲玲が住む町と旅した場所の風景が目に浮かぶようで、冒頭からその世界に引き込まれた」、「物語の終盤で主人公の母親の語る半生は圧巻」といった評価が寄せられました。その一方、すでに第一次選考で指摘されていたように、「ヒロインが日本人旅行者の長谷川と再会するまでの話が長く、中だるみする」との意見もありました。また、「主人公が長谷川に寄せる思いの熱さが伝わってこない。その冷静さが彼女の身上だとすれば、それをきちんと自覚して書くべきだった」という意見もありました。選考委員の中には、「この作品を一押ししたい」という人もいましたが、満場を説得することはできませんでした。

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