第ニ次選考あと一歩作品詳細

『たなごころ』 大谷 りょう

 『たなごころ』は、高校時代に出会って恋をした和歌に思いをつたえられず、10年も悶々とした日々を過ごす臨床心理士の龍介のヘタレな片思い物語。
 「前半、物語を龍介が入院患者の柚月という少女に語り聞かせるという構成がうまい。関西弁のほのぼのした語りが作品にいいリズムを与えている」、「主人公が恋する和歌が魅力的に描かれているので、物語に説得力がある」との評価が集まりました。その一方、物語の聞き手だった柚月が龍介の恋を発展させるキーパーソンになる後半からの展開には「偶然の要素が大きく、強引さを感じる」との意見も多く出ました。また、「女性のキャラがしっかりと描けているのに比べ、男性のキャラが今ひとつ明確に伝わってこない」との意見もあり、通過には至りませんでした。

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