第一次選考あと一歩作品詳細

『6代女(ろくだいめ)』 本間 しげる


選評

 生真面目な39歳の独身OLのもとに、ある夜幽霊が現れる。幽霊は「あんたの先祖に殺されて七代祟ってやるって決めたのに、あんたが結婚もしなけりゃ子供も産まないから、七代祟ることができないじゃないか。あんたにその気があるなら協力するよ」と持ちかける。毎日を淡々と過ごしてきたOLは、幽霊の出現により、自分の人生を前向きに考え始めるが……。
 幽霊に急かされて婚活をがんばるという設定は秀逸。主人公のOLが毒づいたり自己嫌悪に陥ったりしながらも、少しずつ幽霊に後押しされ、最後にはめでたく結婚相手を見つけるというストーリー展開も、ハッピーエンドで好感が持てます。
 ただ、全体的に一文が短く、ブツブツと途切れがちなため、小説としての深みを感じられない点が非常に残念です。文章もOLの愚痴エッセイふうで、共感は持てるのですが、物語として入り込むことができない。ケイケイの「ワンダフルライフ」のような、シニカルな4コマ漫画を読んでいるような気持ちで楽しませてもらいましたが、やはり「小説」とするには、文章と文章をつないでいくことを強く意識し、全体の流れを大事に書かれたほうがよいと思います。

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