第一次選考あと一歩作品詳細

『敵対的買収・の男』 雪野 はる


選評

 敏腕女性弁護士と、敵対的買収を仕掛ける会社経営者との恋。そして、次々と明かされるふたりの過去。善と悪が入れ替わるどんでん返しなど、さまざまな道具立てで読者を楽しませようというサービス精神に打たれました。が、作品そのものが短く、あらすじ調の文章になってしまったのは残念です。ヒロインが「好き」と打ち明けるタイミング、敵対的買収の男の真意が明かされる場面などは、もっと練り上げて、ここぞという場所で書くべきでしょう。本来なら倍くらいの枚数になっていたはず。書くべきことと、書かないですます部分を選り分けるセンスを磨けば、重厚で骨太なエンターテインメント作品を書けるはずです。

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