第一次選考あと一歩作品詳細

『the brother on a water』 宗 實


選評

 学生時代、神戸でも有名なサーファーだった拓也と離婚した玲子は、実家の横浜で傷心を抱えたまま過ごしていた。そんなある日、拓也の姉、梨香からの電話がきっかけで、玲子は拓也に会う決心をする。ちょっとした気持ちのすれ違いが原因で別れた二人は、その再会により、それぞれの心の中で自分の気持ちを再確認。玲子は拓也のいる神戸に戻ってくることを決意し横浜に帰ったのだが、そこに拓也の訃報が届いた―─。
 拓也と玲子、2人が出会い結婚するまでの恋愛模様を中心に、梨香の姉弟愛、梨香の夫である川村との夫婦愛など様々な愛の形を表現しています。拓也の死後、悲しみの中で前を向こうとする玲子、一方悲しみから抜け出せない梨香の違いも興味深い。華やかなストーリー展開は無いながらも、リアリティがあるだけに心に響く作品です。読者に伝えたいことをもっと明確にすれば、さらに良くなると思います。

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