第一次選考あと一歩作品詳細

『丘の上のアジア』 岡崎 信平


選評

 丘の上にある自動車修理工場を舞台にした、昭和のニオイぷんぷんの作品。個人的には、確信犯的オヤジの男性登場人物や、魔性の女的な位置づけのハルコなど、けっこう好きなキャラクター揃いでした。一種のファンタジーとして楽しむという手もありか、と思います。ただ、20代~30代の女性が楽しむ作品としては、どうか、という疑問は残ります。その要因は、唯一ともいえる「現代的」人物のヨーコの存在感の薄さ。言葉遣いなど、それなりのリアリティーはあるのですが、もっと彼女の視点を入れ込んだほうが平成の時代に通用する作品になるのではないでしょうか。おもいきって、彼女の視点で物語を再構築しなおすといいかも。

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