第一次選考通過作品詳細

『私のカレは丹下段平』 加藤 えり

 法科大学院生の天笠年子(トンコ)と森田サオリは、ひょんなことから医大のボクシング部に所属するふたりの青年、四十八願祐樹と大豆生田龍と知り合う。ボクシング部主将である祐樹の熱心な依頼により、トンコはナース姿でラウンドガールをやるはめに。
 ランドガールの写真が大々的にマスコミで取り上げられて、取材を受けるうちにトンコはミス・ユニバースの東京大会に出場することになってしまった。医師国家試験を前にボクシングの試合に挑む祐樹とリュウ、司法試験を直前に控えて彼らを応援するトンコとサオリ。それぞれに自分の道を求めて一歩踏み出して……。


選評

 依頼されると断れない性格のトンコが医療系大学のボクシング大会に呼ばれ、ナース姿でラウンドガールをやるまでのやりとり、話の持っていき方が絶妙。裕福な家庭に育ち、人に尽くすことに喜びを感じる、ちょっとメタボな医大生ボクサーの祐樹も魅力的に描かれていました。祐樹がボクシングに真剣に取り組む理由、幼なじみのリュウとの友情も丁寧に描かれていて、読後感もさわやか。エンターテイメント作品として見せ場がたくさんあり、勢いのある作品です。大学院生が主人公の話ですが、書いたのは17歳。高校2年生の女の子の作品だということに驚きました。

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