受賞作品詳細

第5回 日本ラブストーリー大賞 審査員特別賞

『ショーウィンドウ』/著者:羽澄 愁子

私は大学三年で入ったゼミで、アヤとケイと友達になった。恋に恋してばかりでまだ実際の恋愛を知らないアヤ。そんなアヤに想いを寄せるケイだが、アヤを大切に思うあまり、なかなか一歩を踏み出せずにいた。そこへ、一学年後輩のヒロトとエチゼンがゼミに加わるようになる。ヒロトもアヤに恋愛感情を抱き、ケイ、アヤ、ヒロトの三角関係が出来上がってしまった。一方の私は、サボりがちだったゼミの担当教授が、私の部屋に「ゼミに出るように」と毎日訪れてくるようになったことをきっかけに、いつしか禁断の恋に落ちてしまう。妻を持つ先生と結ばれ、秘密の三角関係を持つことになった私、私の恋の理解者であったエチゼン、そしてケイとアヤとヒロトの三角関係。それぞれが恋に泣き、笑い、傷つき、傷つけ合いながら、大学生活はまたたく間に過ぎ去っていった。そして二年後――私たちが再会したのは、ケイの通夜だった。ケイの自殺の真相、そして隠されていたエチゼンの気持ち、次々とあの頃の真実が明らかになっていき、最後にみんなが感じたことは……。


著者:羽澄 愁子(はすみ しゅうこ)プロフィール

1982年、東京都生まれ。一橋大学卒業。現在、金融機関勤務。

受賞者コメント

人生で初めて書いた小説です。最初は物語を紡ぐだけで楽しかったのが、いつしか感想を聞きたくなり、でも見知った人に読まれるのはなんだか恥ずかしくて、数ある文学賞の違いもわからないまま、勢いだけで応募しました。それが、まさかこのような栄誉ある賞をいただくことになろうとは、想像もしていませんでした。最初はとても驚き、時の経過とともに喜びが湧き上がり、ときに誇らしささえ感じましたが、いまは、私は本当に幸運だったのだと、ただそれだけを静かにかみ締める思いです。貴重な選評をくださった選考委員の方々には、心より御礼申し上げます。この作品が皆様の手に取っていただける日が訪れることを願っております。