受賞作品詳細

第4回 日本ラブストーリー大賞 エンタテインメント特別賞

『愛(かな)し』/著者:千梨 らく

※書籍化に伴い、『惚れ草』と改題いたしました。

20歳の春陽は、5歳のころから一の瀬岳に片想いをしていた。その異常なまでの執着ぶりは、彼が姉の夫となってからも褪せなかった。そんな春陽はふとしたことから「惚れ草」の存在を知る。それは、煎じて飲ませた相手の愛を得ることができるという草だった。 友人の男性・志津谷の協力を得て「惚れ草」を入手し、一の瀬に飲ませることに成功した春陽。しかしそのあとすぐ、その草に命を奪う副作用があると知る。一の瀬が死んでしまうとパニックになる春陽だったが、じつはそこには志津谷のある想いが働いていた……。


著者:千梨 らく プロフィール

1972年生まれ。明の星女子短期大学仏語科卒。銀行、証券会社勤務後、現在、公園や学校、遊園地などの遊技器具を製造販売する家業の手伝い。

受賞者コメント

私は子供の頃から大きな挑戦を避けてきました。やはり手が届かなかったと絶望するのがこわかったからです。小説家になりたいと幼い頃に抱いた夢は、その最たるものでした。小説を書く人は特別な人で、私のような凡人にはとうていかなうはずもないと一歩も踏み出すことができませんでした。 しかし、大きな事故に遭って死をすぐそこに感じたとき、私は今まで何をしていたのだろうと思いました。生きていられるなら、ほんとうにやりたいことをしよう。防御壁のなかから抜け出そう。そうして小説を書きはじめて、けっこう傷ついてきました。おもしろくないと言われて落ち込んで、賞に落選して苦悩しました。今回、目標としていた「日本ラブストーリー大賞」で賞を授かり、無数の傷が塞がりました。カサブタの数々が愛おしくも感じられます。この奇跡のような癒しを糧に、これからもまたどんどん傷を負いながら小説を書いていきたいと思います。


『愛(かな)し』/著者:千梨 らく

※書籍化に伴い、『惚れ草』と改題いたしました。

定価:本体1143円+税

全国の書店でお求めください。一部インターネットでもご購入いただけます。