第一次選考あと一歩作品詳細
『Sleeping Beauty on the street』 藤本 みのり
選評
ある夜、高校教師をしている大沢涼司は道ばたで寝転がる女性・ハルミを見つける。その女性を放置するわけにもいかず、涼司は家へと連れ帰るが、そこから涼司とハルミの奇妙な同居生活が始まる……。物語は軽快でユーモアに溢れる文体で綴られていき、テンポよく読み進めていくことができるのだが、物語自体の広がりがあまりなく、せっかく登場する様々なキャラクターが十分に活かされていない。その点が、なんとも残念に思う。高校教師という主人公の設定上、同じ高校の同僚である香西や、生徒の須藤といったキャラクターも積極的に物語に絡んできて良いはずだが、中途半端な位置づけで終わってしまっているのが惜しい。基本的なストーリーラインはしっかりしているため、物語を上手にふくらませることができたのならば、より良い作品に仕上がっただろう。
→ 一覧に戻る