第一次選考あと一歩作品詳細
『Flower』 isa
選評
愛する義理の兄・繍一(しゅういち)と死別した主人公・ユメは空しい日々を送る。そんなある日ユメは繍一の親友であり、一流のバレエダンサーである有理(ゆうり)に拾われる……。恋人の死に直面した主人公の喪失感と、再生へと向かうプロセスが、静かなタッチで綴られる──。主人公の喪失感、再生への兆しを、ささやかな日常の描写を通して描き出してゆくスタイルには好感を持てた。しかし、このようないわゆる「正攻法」のスタイルで勝負するにはいささか精彩を欠く、という印象を受けた。この作品の持ち味を生かしつつ、少しだけ、物語・人物の設定を工夫すれば、さらに魅力的なものが描けるのではないかと感じる。
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