第一次選考あと一歩作品詳細
『リンピアント』 森田 佳代
選評
「未練」というと、未練がましいとか、未練たらたらなどと、ネガティブな印象しかなかったのだが、この作品を読んでみて、初めて未練というのも「アリ」なのかもしれない、と思えた。未練があるために前向きに生きられない人生もあれば、未練があるからこそ前に進める人生もある。そんな新鮮な感覚が、胸にしまっておきたいような恋愛経験を重ねてきた、必ずしも若者とは言えない男女の出会いと別れを通して描かれている。つまり、未練とあらためて向き合う作品、という意味ではよかった。 また、作品中に登場する女性たちが妖艶に描かれ、それぞれに異なる色気を醸し出している。
→ 一覧に戻る