第一次選考あと一歩作品詳細
『去りし風の名』 下村 高広
選評
主人公は女刑事。女吸血鬼・笙子が連続殺人事件を起こし、もと恋人の速水が彼女を止めようと戦うが負けて自分も吸血鬼になってしまう。速水は主人公とともに笙子を倒すが、彼もまた死を選び最後は朝陽をあびて灰になってしまう──。所々見せるスリリングなシーンは他にはない感じがしました。邦一のダメっぷりが好きです。女刑事とダメ後輩という組み合わせはバディものとして定番ですが、二人のキャラクターは親しみやすく、読者を物語に惹きつけることに成功しています。ただ、吸血鬼ものという意味では、物語の定型に頼ったストーリー展開で、安心して読むことはできても、驚きや、これまでになかった恋愛観を提出したりといった要素に欠けているように思いました。
→ 一覧に戻る