第一次選考あと一歩作品詳細
『恋運ぶハガキ』 村岡 直樹
選評
仲の良かった高校生・恋人たちに10年の時がしっかりと過ぎて、「こんなはずではなかった」という焦燥感にとらわれる元OL、現フリーターの主人公のディテールは説得力がある。ところどころで容赦なく指摘される主人公のいい気な部分や甘えが、親友の主婦との喧嘩のシーンで的確に突っ込まれた後は、反省はするがめげない主人公を素直に応援でき、結末にも拍手出来る。だが、主人公がライバルに拉致されてあわやというシーンは、昔の彼の能力を発揮させるカーチェイスシーンと彼の記憶の復活の伏線とはいえ、話の流れからやや唐突で、拉致の理由も手法も腑に落ちない。
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