第一次選考あと一歩作品詳細

『消せない未来を負って』 新條 亜緒


選評

子供のころから予知夢を見る能力を持っている「私」は、夫が自分を殺す夢を見る。その理由を知ろうと夫の過去を調べると、幼いころの自分が招いた交通事故のため、夫がフィアンセと、赤ん坊を失っていた事実に気づく。「私」は罪を感じて、夫の手にかかろうとするが、夫は未来を変える──。予知夢という題材を使ったユニークな作品で、なかなか面白い着想。中編程度の短さだが、楽しく読める。惜しいのは、クライマックスの場面の解決法(夫が未来を変えようとする場面)が、映画『マイノリティ・リポート』に似ているという点。先行作品がある場合、質、量ともに原典を凌駕するような作品でないと負けてしまう。

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