第一次選考あと一歩作品詳細
『雲平線―空と雲の境界線―』 菖蒲 亮静
選評
スチュワーデスという肩書きを武器に派手に遊んでいた山瀬杏子のもとに、陽気で明るい大学生、陽介があらわれる。しかし、芸能人、医者といった著名人しか相手にしない杏子は、陽介のことは眼中になかった。が、仕事のミスで落ち込んでいたときに、陽介の明るさにひかれてしまう。その一方で、人気ラッパ-グループのU-MAとも関係を持つ。2人の男性の間で、揺れ動く杏子。そのとき、週刊誌にU-MAとの記事がスクープされてしまう──。作者は現職のスチュワーデスだけに、フライト中の機内での描写にはリアリティがある。ただ、本作品に描かれているスチュワーデス像に、真新しさは感じられない。また、ト書きの部分で「○○だった」「○○だった」と同じ語尾が連続する箇所が目立つ。それがスト-リーの流れを悪くしているため、せっかくの描写がいきてこない。残念。
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