第一次選考あと一歩作品詳細

『愛と絆の彼方』 かじ えいせい


選評

ロス在住の腕利き弁護士ケビン(50過ぎ)は末期がんであると宣告され、余命が一年であることを知る。ケビンは手術を拒否。東洋医療を頼り単身日本へ。日本でケビンは横須賀の茶道家元の娘マリエと出会う。惹かれあう二人。しかし二人の出会いを契機にさまざまな事件が襲いかかり、マリエは己の「出生の秘密」を知るに至る。アメリカ・日本を舞台に国境を越えたラブストーリーが展開される──。ストーリー展開が唐突かつ説得力に欠ける。地の文で開陳される、日本文化、セラピーに関する薀蓄が長い、など欠点は多いが、この作品に対する作者の気合は伝わってくる。「読者へのサービス精神」という点を念頭に置いて、改稿してみたらどうだろうか。

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