第二次選考通過作品詳細

『守護天使』 上村 佑

みかけもさえず、妻に頭のあがらない、50男の須賀啓一は、通勤電車の中でみかけた美しい女子高生に一目ぼれしてしまう。ネットブログの書き込みから、変 質者達のターゲットとなり拉致された女子高生を、友人ら3人で救出に向かう啓一。犯人をやっつけるが、啓一も警察に連行されてしまう。翌日、家族が迎えに 現れる。


選評

『守護天使』は、恐妻家で日々のランチ代にも困り、息子の貯金箱から小銭を持ち出すような情けない50歳の男が、通勤電車で見かけた女子高生に一目ぼれして彼女の「守護天使」になることを決心するドタバタストーリー。
 「本人は守護天使のつもりでも、周囲からはストーカーにしか見えない主人公の痛さが笑える。登場人物それぞれ個性的で会話もテンポがあり、楽しい」(石 田)、「このキャラクターが活躍する別の話をまた読みたいと思わせる」(梅村)と、ユーモア小説としての評価は高く、「主要登場人物のヤンキー男性のディ テールがリアルだった」(潮凪)、「映像化しても面白そう」(稗田)、「最初から最後まで破綻なく、いっきに読ませる」(坂梨)とキャラクター造形や構成 も好評でした。
 その一方、「犯罪者側がありがちな人物像で、ヒロインの魅力にも乏しい」(稗田)、「主人公とヒロインが一度も会わず、心を通わすシーンがないのがラブストーリーとしての感動は薄い」(梅村)といった意見もありました。
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