第一次選考あと一歩作品詳細

『脱皮するタイヨウ』　島崎 ひろ

選評

愛情に飢えたヒロインありさの心情がていねいに描かれた作品。ワタルとの日常生活を描写した前半部分はやや退屈だったが、やがて後半になって中学生男子とのセックス、同級生男子からの強姦と、ストーリーは驚きの展開を見せる。キャラクターひとりひとりキチンと書き分けられていて、そのまま漫画の原作として使えるのではないかと思うほど完成度は高い。しかし、ありさがどのようにして精神的な成長をとげ、玲ちゃんをあきらめることができたのか、その大事なテーマが伝わりにくく、お話はおもしろいけどあとに残るものがない、というような印象を受ける。「好き」と「愛している」の違いは何なのか？「セックスしたい」と「愛してる」はどう違うのか？そのあたりが描かれれば、この作品はもっと深く、より多くの人の心を動かしたのではないか。

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