第一次選考あと一歩作品詳細

『そこに光る。』 信沢 恵理


選評

「中学の時に好き合っていたのだから、一目見て、気づかないワケがない」「挨拶をしたり食事を一緒に食べたりしているのに気づかないなんて、いくらなんでもおかしい」という疑問を抱かせ続ける一方、最後に「二人とも実は気づいていた」というオチは、あまりにもリアリティに欠けていて、納得がいかない。倒置法が多く、コレが著者の味なのかとも思えなくもないが、読んでいてかなり気になる。にもかかわらず、この作品が惜しいと感じるのは、好きな人から「美味しい」という言葉を聞くためにパティシェの仕事に打ち込み、タルトを作製する朝日の一途な思いと姿(キャラ)が、魅力的に描かれていたからだ。ストーリー全体の設定・展開に難があり、その点が惜しまれる。

一覧に戻る