第一次選考あと一歩作品詳細

『格子恋情』 津田 秋緒


選評

母子家庭で育った麻衣は母・貴子の結婚相手として実業家・鈴木を紹介される。鈴木は離婚経験があり、子供はいない。鈴木は麻衣に仕事以外でも親しくしている柿崎という青年を紹介する。うわべ上、麻衣と柿崎は恋人同士であるが、実は麻衣は母の恋人・鈴木に恋をし、柿崎は麻衣の母・貴子に思いを寄せ、密かに肉体関係をもつ。しかしこのような恋が成就するはずもなく、二人はともに失恋する。しかしここで麻衣はあきらめない。麻衣は柿崎と手を結び、鈴木を手に入れるため、ある「作戦」を実行にうつす──。 母の婚約者を挑発し拒否されるも、反省ということをしらない麻衣。鈴木を母から奪う策略をめぐらす彼女は客観的に見ればかなりアクドイが、それなりに愛らしく思えるのはひとえに麻衣の語り口調の明け透けさ、軽さによるものだろう。この語り口が麻衣のキャラクターを引き立てている。ただし、終盤の展開は平板で、これからというときに物語は尻すぼみに終わってしまう。鈴木という人物にも魅力を感じなかった。

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