第一次選考あと一歩作品詳細

『運命のちから』 沖原 はるか


選評

事故で失明して2年になる主人公・尚は、ある日灯里という少女に出会う。やがて角膜移植を受けた尚は灯里が進行性の視力障害だと知る。灯里の顔を知らないがゆえにすれ違いなかなかあうことのできない二人だったが最後は再会する──。「どうして目が見えない期間があったのか、やっとわかった」という言葉が印象的でした。医療技師をしている作者にしか書けない作品だと思います。ただ、「視覚と恋愛」がテーマの物語のわりには、そのあたりが未消化な印象も受けます。そのあたりのことがよく描かれていれば、話に起伏や波が生じて、より完成度の高い作品になったと思います。この作者さんのカラーは誰にも真似できないものだと思うのでこれからもたくさん書いて欲しいです。

一覧に戻る