第一次選考通過作品詳細
『NEGURA』 篠原 啓介
主人公・樹乃村の親友、三島刑事が自殺した。三島刑事が追っていた事件は樹乃村の会社の同僚の殺人事件だった。自殺に疑問を抱いた樹乃村は、重要参考人である梶田を追う。梶田もまた、樹乃村の同僚であり、殺害された被害者とは三角関係の仲だった。樹乃村は思いを寄せていた新人の女性の協力を得、梶田を追うが、梶田の犯行はなかなか立証できない。梶田に「念じるだけで人を殺せる能力」でもなければ……。NEGURAという特殊な力を持った生物が引き起こす殺人ミステリー。
選評
次々と起こる怪事件、真犯人を追う主人公とその恋人のなかなか成就しない恋、NEGURAという特殊な力を持った生物の謎。この3つの要素がうまく絡んでいて、思わず引きずり込まれてしまった。文章力もあるし、伏線の張り方もうまい。恋愛小説としては感動が薄いが、ミステリーとしては評価できる。残念なのは、結末が安易過ぎること。読み手の好き嫌いもあるかもしれないが、主人公には過酷な環境の中で、最後まで「生」と向き合って欲しかった。
→ 一覧に戻る