第9回日本ラブストーリー大賞 2次選考あと一歩の作品(6)

女税/島左子

 外見にコンプレックスを持つ楓は、妬みの一心でイケている女子から〈女税〉を徴収している。クラス一のモテ女子に彼氏からの偽手紙を出して別れさせたり、人気女講師のストールを切ったり。イケ女しかチヤホヤしない合コン男子から多めに参加費を徴収することもしばしばだ。しかしそんな楓に転機が訪れる。アメリカ留学を経て男ができ、逆に〈女税〉を徴収される立場になったのだ。かつての報いのように、仕事を奪われ、その身に危「険の迫った楓の出した意外な答えとは――?

 イケてる女からは「女税」を徴収するというアイデアは秀逸。タイトルに惹かれた選考委員も多くいました。しかし「女税」の必然性が伝わらず、要領得ないままに物語が展開していく点については厳しい意見も多く、構成、文章力ともいまひとつということで、残念ながら通過には至りませんでした。

反面、作品の「妙な中毒性」に惹かれる選考委員も多く、主人公の楓にダークヒロインとしての魅力を感じるという意見もありました。こういった「地味な悪女」や「いじわるさ」を淡々と描けることには独特のセンスを感じられるので、構成力、文章力を磨きつつ、女をより深く描いていけるとよいかもしれません。